音楽療法

 

こちらのコーナーでは、音楽療法士の田中美智子さんをご紹介します。

なごみの森では、全事業所で音楽療法を実施しています。初めはなかなかご参加いただけなかったご利用者様も今ではみなさんご参加され、毎回大人気の時間です。田中さんは東京4事業所(国立西、世田谷中町、八王子寺町、野毛公園)を担当していただいております。

 


----- いつも楽しい時間をありがとうございます。

 

こちらこそ、とても勉強になります。

 

----- そもそも、音楽療法とはどのようなものでしょうか?

 

レクリエーションとして楽しいことはもちろんですが、その先の目的を見据えながら音楽活動をしています。会話の題材になったり、交流のきっかけになったり、運動はできなくても音楽に合わせて自然に体を動かしたり、忘れていた楽しい思い出を思い出して幸せな気分になったり…音楽の力がどんな影響をもたらすか、その先を考えながら実施するのが音楽療法だと考えています。

音楽って、別になくても生きていけるものなのかもしれませんが、「生きていく力を出す力」があるものだと思っています。その力を引き出すような活動を目指しています。

 

----- 先生は以前アフリカでの活動のご経験もあるんですよね?

 

はい、西アフリカのコートジボワール(※20123月現在、退避勧告または渡航延期勧告の対象)で、青年海外協力隊の一員として、サックスの講師をやっていました。大学の専攻がサックスだったのですが、卒業後に海外でのサックス講師の募集が目に留まり、応募しました。

 

----- とても苦労されたんじゃないですか?

 

一晩飲み明かさないと語れません!(笑)

アフリカでの最初の仕事は、楽器のカビ取りでした。日本政府の援助で楽器が大量に贈られていたのですが、置き場所もなく、水に浸かっていたり、ひどい状態でした。もちろん必要な機材も揃っているわけではないですし…。環境が整っていない場所でも、自分がどうやって工夫をすべきか、とてもよい経験になりました。

 

----- ところで、なぜ音楽療法士として活動されるようになったのですか?

 

きっかけの一つは、子供の頃からピアノを習っていたのですが、難しいクラシック曲は弾けるのに、祖母に「この歌弾いて。」といわれた曲がわからなくて、もどかしい思いをしたこと。もう一つは、音大を卒業して、これまで学んだことをどのように活かしていくか悩みながらアフリカへ行ったときに感じたことです。一緒に派遣された看護師の仲間達が、生死に関わる仕事をする姿に接するなかで、自分のやっている「音楽」ってなんなんだろう?…と、とても考えさせられました。

帰国後、友人のお手伝いで音楽療法の現場に触れ、その「深さ」や「難しさ」を知るとともに、この方法を学べば「音楽の力の使い方がわかるのではないか」「あの時、祖母が願ったように唄うことが出来るはず」と思ったのです。それから本格的に勉強を始めました。

 

----- やっていて難しいと感じることや、苦労することはどんなことですか?

 

一口に「ご高齢者」といっても年齢の幅が広いので、全員共通で歌えるような、世代を超えた曲を探すのは難しいですね。逆に、知らない曲をご利用者様同士でお互いに教え合ったりする場面をつくれるように、努力しています。

あとは、心の問題を理解することなど、もっともっとご高齢者のことも勉強していきたいと思います。

 

----- 反対に、やりがいを感じるときはどんなときですか?

 

演奏会のような場では観客とのやり取りは難しいですが、相手の表情を見ながら、その場で対応できるところが最大の魅力です。音楽を活かせていると感じられたときや、今まで見られなかった表情や仕草が引き出せたとき、そしてなんといっても「楽しかった」「また来てね」と笑顔をいただけたときに、やりがいを感じますね

 

----- 今後やってみたいことなどを教えてください。

 

音楽療法に接する機会が多い方だけではなく、家庭内に引き篭もっていたり、外部と交流をしなくなってしまった方々にも、もっと興味を持ってもらって、社交性を取り戻してもらえるような活動をしていきたいと思っています。介護の現場だけでなく、その前段階から、例えばご高齢者のサークル活動のような場面から関わっていけるような活動をして、横のつながりを維持していただき、お年を召されてからも抵抗なく参加できるような、そんなきっかけをつくる活動ができればと思っています。

 

----- ありがとうございました。今度は社員向けにも演奏お願いします!

 

機会があれば是非!(笑)

 

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隔週での音楽療法を実施した際には、個人ごとのモニタリング(継続的な点検)も実施しております。なかなかすぐに大きな変化があるわけではないですが、中長期的なスパンで是非ご活用いただければと思います。

 

なお、音楽療法へのご参加は、もちろん無料です!!実施日は、各事業所にお問い合わせください。